
いざ自分に困りごとが生じた時、どうしますか?
誰に相談してよいかわからない、弁護士?司法書士?はたまた別の士業?
法律に関わる問題が生じたとき、誰しもが最初に思い浮かぶのは弁護士です。
法律のプロフェッショナルである弁護士が思い浮かぶのは当然です。
じゃあいざ弁護士の先生に相談、と思っても費用が心配…などといろいろ考えてしまいますよね…。
そんなときに、行政書士へのご相談やご依頼を検討して頂きたいのです。
1・費用が比較的リーズナブルであるという事
ご相談、書類作成など行政書士でも弁護士でも依頼出来るもので比べれば、行政書士の依頼費用のほうがかなり手が届きやすい金額で設定されている事が多いです。
弁護士の場合には内容証明1通作ってもらって終わり、という依頼はあまりしませんから(注:対応してくれる事務所もあります)、内容証明を送った後の示談交渉、最終的な調停や訴訟も視野に入れての依頼となる事が多くなります。そうなれば着手金で最初に10万円以上、20万円は一般的ですし、その後も報酬を支払う事となり、トータルの費用はかなり大きなものになってしまいます。
作ってもらいたい書類が弁護士でも行政書士でも依頼出来るもので、訴訟まで今は考えていない、まずは出来ることからやってみたい、といった場合には行政書士に依頼して費用的な負担を減らすことを考えてみるのも一つの選択肢です。
費用的に安く済む、といっても行政書士は書類作成のプロですから、費用面の負担を軽くしながらも法的に不備がない書類を作ってもらう事が出来、法的リスクを回避しながら解決に向けてサポートしてもらう事が出来ます。
2・相談しやすいという事
弁護士事務所に相談しに行く…少し勇気がいりませんか?
こんな事、弁護士に相談して良いものか… 迷う事もあるかもしれません。
そんな時にはまず行政書士に相談してみるのも一つの手です。
感じ方はそれぞれかもしれませんが、行政書士は「敷居の低い相談しやすい事務所」という方針を掲げている事務所が多いです。
そしてこの問題はどんな専門家に依頼すべきか分からないという場合でも
行政書士に相談をすれば
「それであれば私どもの事務所でこのようなサポートが出来ます」
「それは司法書士の先生にお願いするのが良いと思います」
「その状況であれば職域の問題から行政書士や司法書士では既に対応できないので弁護士にご相談されるとよいと思います」と判断してくれるはずです。
行政書士に依頼出来ると言われれば、まずは費用面も考えて書類作成を行政書士に依頼してみることを検討する、
職域の問題から他士業の依頼が必要であれば、その時は他士業の先生への依頼を検討する、と考えて
まずはお気軽に行政書士にご相談頂くとよいかと思います。
手探り状態だったところから今後の筋道が見えてくると思います。
3・複雑な書類作成や手続きを任せられる事で安心間と時間を得られ、更に法的リスクを回避できる
相続が発生した時、何から手を付けて分からないと途方に暮れる方は多いですよね…
いざ手を付けてみたらこの書類はどこで取るの?出生から死亡まで戸籍必要って言われたけど除票って?改正原戸籍って何?これで書類は合っているのか?とあちらこちらで聞いては色々な所に出向いて書類を取得したり、提出したり…
他にも離婚するときにはどんなことを決めて書類にすべきか、間違いのない書類を作りたいけどよく分からない…
公正証書にしておきたいけどどうしたら良いかよく分からない…といったような事もあるかと思います。
許認可(当事務所ではあまり扱いませんが)に至っては必要書類も煩雑で行政の手引きは専門用語も多く「ちんぷんかんぷんだ」と仰る方がたくさんいらっしゃいます。
法的に間違いのない形にしたいけど、難しそうで良く分からない、調べるにも日々の仕事や子育てに追われてその時間を取れない…という事もありますよね。
そういった時に複雑な書類を書類作成の専門家である行政書士に任せる事で安心感を得られます。
自分でやれば、1週間、1か月、数か月…調べているうちに気が付けばどんどんと時間が経過してしまうものも、行政書士は専門家ですからそれよりもずっと短時間できちんとした書類を収集したり作成したりすることが出来ます。
ご自身で対応することが難しい時には書類作成の専門家である行政書士に依頼をし、安心感とご自分の時間を確保するのも良いでしょう。
1・紛争性有りの場合には対応出来ない
行政書士の業務はというと
他人の依頼を受け報酬を得て、
権利義務に関する書類
事実証明に関する書類
を作成する事です。
一方で弁護士の業務はというと
審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為
その他一般の法律事務を行うこと です。
一つ目に関しては当然行政書士が扱う事は出来ません。
気になるのは二つ目の「一般の法律事務を行う」という部分です。
法律事務というと行政書士でも出来るのでは?と思われるかもしれませんが
すでに事件性や紛争性が生じている案件についての法律事務は行政書士が扱う事は出来ません。
そういった案件については、当事務所におきましても
ご相談や書類作成のご依頼をお受けすることは出来ません。
弁護士法72条に違反する行為になるためです。
ですから、すでに争いになっている、明らかに今後争いになりそう、という場合には
弁護士にご相談、ご依頼をしていただく必要がありますし
最初は紛争性が無かったから行政書士に依頼していたが、途中から紛争性が出てきた、といった場合には
調停や訴訟を見据えて弁護士に依頼する事を検討をして頂くことになります。
当事務所ではご依頼後に紛争性が生じ、調停や訴訟をしたいから弁護士に依頼したい、といった場合や、弁護士に直接相手と示談交渉をしてもらいたい、といといった場合にはスムーズに弁護士への依頼に切り替えて頂けますのでご安心ください。
その場合、いったん行政書士の依頼費用を支払ったが、その後弁護士への依頼費用も必要となるということになります。これが一番のデメリットであると思います。
この点についての当事務所の見解
今は紛争性がある訳でも無いし、いきなり訴えるという事までは考えていない、といった場合や、今は特に揉めている訳ではないのにここで弁護士を入れると逆に相手の感情を逆なでし、必要のない紛争性を呼びそうだ、といった場合には、まずは行政書士に書類作成してもらうなどして今やれる事をやって円満解決をはかるのも良いかと思います。
それで解決すれば問題無いですし、もしも相手が反論してくる等して紛争性が生じてしまったら、その時に訴訟まではしたくないからその段階で今やれる事はやったと納得してやめるのか、徹底的に相手の責任を追及したいから弁護士に依頼して示談交渉をしてもらったり、調停や訴訟をしたいのか、じっくり考えて頂くのも一つの選択肢かな、と思います。
当事務所のご依頼(離婚関連や不貞行為の慰謝料請求など)では、ご依頼を頂いた案件の内、6~7割が円満に解決し、2割ほどは紛争性が生じ、その2割の内の7割程度の方は弁護士に依頼されることを決断される、という傾向です。
先の分からないことばかり考えてしまうと進めなくなってしまいます。
何もしなかった事で後悔しそうなのであれば今できることをしてみる、動いてみる。
これを私は昔から「未来の笑顔のための種まき」と言っています。
2・依頼先を選ぶのが難しい
行政書士はたくさんいます。
地域により差はあるかもしれませんが、ネット検索をしても沢山の行政書士事務所があがってきます。
行政書士に依頼する方が他の士業に依頼するよりも依頼先を選ぶのが難しい理由として
行政書士が扱える範囲の色さにあります。
行政書士が扱える書類は1万種類ともいわれています。
ですが当然ながら1万種類の書類をすべて完璧に網羅している行政書士はおそらくいません。
最近は特に、専門分野をもった行政書士が増えていますので
専門以外の業務は取り扱わないという事務所も多くあります。
その中で、自分が必要とする業務に対応してくれる行政書士事務所を探すのはなかなかの大変な作業ではあります。
まずは相談をしてみてご自身が必要とするサポートをしてくれるか、得意としているか、といった事を確認する必要がありますので、そういった点では弁護士や他士業と違っていると思います。
専門分野の確認と共に自分と相性がよさそうか、といった事について考えてみるのも意外と重要ですよ。
どんな素敵な先生でも人それぞれ相性はありますから、自分にはどうも合わない…と感じられる事もあるかもしれません。
契約書の作成1通お願いね!出来たらメールにデータ添付で納品して終わり、といった依頼であればあまり関係無いかもしれませんが、市民法務に関しては一回の連絡で完結することはまずありませんので、不安な時や疑問が出てきたときにこの人なら気兼ねなく相談出来る、という安心感がメンタル的にも重要なんです。
弁護士事務所名と弁護士名が入っている事の威圧感
内容証明が届いたときに弁護士の名前があると、誰でもドキっとしますよね。
その法律事務所に弁護士が複数人いれば、何名もの弁護士名がずらっと連名で並んでいる事も多々あります。
それを受け取れば威圧感を感じますし、訴えられるかも…という気持ちにもなります。
行政書士に依頼した場合、この部分では弁護士の威圧感には勝てません。
これはデメリットになります。
ですが、メリットでもあります。
相手としては別に争うつもりはなかった、話し合いしようと思っていたといった時に
突然相手が弁護士に依頼して書面を送ってきたらどうでしょう。
なんだこれは!だったらこっちもやってやる!という気持ちになる人も少なからずいます。
本来だったら円満に解決できるはずであったものが弁護士を入れた事で感情面を刺激し、争いに発展してしまう可能性がある、という事がデメリットなのです。
行政書士に依頼した場合どうでしょう。行政書士からの書面であれば、本人が手作りした書面が送られてくるよりは、行政書士事務所の名前が入っている方がプレッシャーは与えられますし、第三者を介したきた事でこちらの本気度は伝わります。
ですが、弁護士=訴訟というイメージとは違って行政書士にはそこまでのイメージはありませんから、感情を逆なでしてしまうほどの感覚にはなりにくいのです。
争うつもりはない、円満に解決したいから弁護士に依頼せず行政書士に書面作成を依頼するに留めている、と記載するのも効果ありです。
ただいろいろな性格の方がいらっしゃいますので、これがすべてにあてはまるわけではありませんから、弁護士からの書面が届いても円満解決するケースはたくさんありますし、行政書士からの書面でも気に入らない方はいるでしょう…
あくまで一般論として、また私の経験を通しての見解ですので参考程度にお考え下さい。