自宅で不倫が行われていたことが分かって大きなショックを受け、くつろぐはずの自宅にいても嫌悪感をおぼえます。
自宅での不貞行為は悪質だと思うのですが、慰謝料に影響はありますか?
これは慰謝料の額に影響を与える可能性は大いにありと言えると思います。
自宅は夫婦にとって生活の基盤を共にし、将来を共に考える場所であり、また協力して子育てをしていく大切な場所でパーソナルスペースともいえます。
夫や妻があえてそのような場所で不貞行為に至っていた事を知った配偶者の精神的苦痛は当然増すものと考えられるからです。
なぜあえて自宅で不貞行為に至る?
色々な理由が考えられますが、まず一番はお金がかからないということ。
またホテルに行ったりするとレシートやポイントカード、クレジットカードの明細など証拠が残りやすいという事から無意識にそれを避けるという事もあります。
そして意外と不貞行為の相手方側がそれを望むことがあります。相手と配偶者の「自宅」という大切な場所で不貞行為に至る事で自分が配偶者より上に立ったような優越感を感じるという事があるようです。
いずれにしても、裁判所判例では自宅における不貞行為は重くみており、慰謝料の増額要因とされている判例が多く見られます。
自宅での不貞行為が慰謝料増額の要因とされた判例
平成29年6月30日判例
長期間、自宅において複数回にわたって不貞行為に及んでいた。
平成29年8月10日
配偶者が単身赴任中、長女がいるにも関わらず、自宅で不貞行為に及んでいた。
令和2年10月21日
Xは長期にわたって不貞行為に及んでおり、配偶者であるYはその中で精神病に罹り、その精神病が原因で入院している間、Xは自宅において複数回にわたって不倫相手と不貞行為に及んでいた。
その他にも判例あり。
多くの判例で「自宅での不貞行為」を慰謝料増額要因としています。
自宅での不貞行為はバレやすい?
証拠を残さない為にあえて自宅を選ぶ人もいるようですが
自宅での不貞行為は配偶者に知られる可能性がかなり高いといえます。
特に不倫をしているのが夫の場合、家事をしている妻は家の中の少しの変化にも気が付きます。
「あれ…これはここに片づけていたはず」
逆に「あれ…普段だったら出しっぱなしなのに何故綺麗に片づけられてるんだろう?」
「ベッドが整えられている…」
「自分の髪色と違う長い髪の毛が落ちている…」
「キッチンのお皿が洗って食器棚におかれている…」
「布団に入ったら嗅いだことの無い香り(香水や銘柄の違うシャンプーの香りなど)がする」
色々なところに妻が違和感を覚えるような証拠が残ってしまうのです。
完全に隠しきるのはなかなか至難の業です。
むしろ夫婦の大切な空間での不貞行為に優越感を覚える不倫相手は、分からないようにあえて証拠を残す事もあるようです。
無言の挑戦状、という訳です。
そして自宅での不貞行為がバレやすいもう一つの要因は近所の目です。
近所の人は意外と見ています。
ママ友が近くに住んでいたりすれば
見た事のない人が出入りしているところに偶然通りかかる事もあり得ることです。
夫はママ友の顔を知らないという事もありますから、見られた事にすら気づかない。
そしてたまたま見た近所のママ友から妻へ…といった具合です。
いずれにしても、自宅での不貞行為はかなり隠す事が難しいと言えるのがお分かりかと思います。
不倫の慰謝料の額は、裁判では色々な要素を鑑み、色々な角度からみて金額が出されます。
自宅での不貞行為が増額要因とされても、減額要因となるような事が色々あればそこまで大きな慰謝料が認められなかったりします。
まずは、示談解決を図って内容証明で慰謝料の請求通知をしてみること、その際には自分が思う金額を提示してみると良いかと思います。(常識の範囲内からはずれた額を提示すると示談解決は一気に遠のきますが…)
軽い気持ちで自宅で不貞行為に至っているであろう相手に対し、その行為がどれほど人を深く傷つける行為であるかという事を認識してもらうための書面を送る。その第一歩が何か気持ちの切り替えをしていくためのきっかけになるかもしれません。
書面の作成に悩まれましたら、いつでもご相談下さい。


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