不倫の慰謝料と離婚の慰謝料は同じ?

離婚についての慰謝料と不倫の慰謝料はそれぞれ別で請求できるって聞いたんですけど

こんなお問い合わせを受けた事があります。

離婚の慰謝料とは

離婚の慰謝料とは、離婚に至るのに主に原因を作ってしまった側が、それによって夫婦の一方に与えた精神的苦痛を金銭で補うものです。

「離婚慰謝料」は2つに分けて考える事が出来ます。

〇離婚自体慰謝料…離婚が原因で受ける精神的苦痛に対して支払われる慰謝料

〇離婚原因慰謝料…離婚に至る原因(不貞行為など)によって受けた精神的苦痛に対して支払われる慰謝料

別々に請求できる?

概念としては別のものです。

ただ実務の世界では、離婚に伴って慰謝料を請求する場合には、この2つを併せて1つの「離婚慰謝料」として請求する事の方が多いといえます。

平成19年の広島高等裁判所の例を見ていきます。

夫に浮気された妻が夫と不倫相手に対して慰謝料を請求し、共同不法行為として連帯して300万円の支払いをしなさいという判決を得た後、今度は離婚を原因として夫と不倫相手に対して慰謝料を請求した事案でした。

一審では、不倫の慰謝料300万円とは別に離婚慰謝料として100万円が認められました。

ですが、夫側はこれを不服とし、不倫の慰謝料と離婚の慰謝料は同じで、同じ事に対して2度も裁判をするなんて許されないと争った訳です。

結果

控訴裁判所は、不倫の慰謝料(離婚原因慰謝料)と離婚の慰謝料(離婚自体慰謝料)は権利としては別のものではあるが、2度慰謝料請求する事は認めない、という判決を出しました。

では、実際別々で請求する事は一切認められないのか、というとそういう訳でもありません。

例えば、夫が不貞行為をし、結果夫婦は離婚するに至ったが、離婚原因は不貞行為だけではなかったといった場合。

夫は妻に対しDVやひどいモラハラをしていたと想定すると、不倫の慰謝料と離婚慰謝料をの請求趣旨では重複しない部分が多分にある訳です。

こういった場合には、不倫の慰謝料と離婚慰謝料は別々で請求する事も考えられる、という事になるのかもしれません。

ですから、「不倫の慰謝料と離婚慰謝料は別々で請求できる」

これについては、権利としては別々のものとして認められているので出来る事もあるし、出来ない事もある。

実際の実務では別々に請求する事はあまりない、と考えておいた方が良さそうですね。

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