不倫の慰謝料 減額要素 不倫相手に対する度を越した言動

相手女性は夫が既婚者であると分かっていて不倫したのに、私からの慰謝料請求の書面に対しては一切無視です。会おうと試みましたが逃げ回っています。このままでは納得いかないので、直接家に押しかけて玄関の外から大声で出てくるように言うか、それでも家から出てこないのであれば職場に行ってみようかとも思いますがまずいですか?

以前こんなご相談をお受けしました。

答えとしては「ちょっとまずいです」

不倫相手に対する言動が不倫の慰謝料の減額要素になったり、別個の不法行為として逆にご自身が慰謝料請求される可能性があります。

東京地裁の平成28年6月29日の判例でみていきます。

夫AがCと不倫をしました。

夫Aの不倫を知った妻Bは、別の知人Dという人物を引き連れてC宅へ行きます。

オートロックのあるマンションでしたが、何らかの方法でオートロックを通過し、Yの部屋の玄関前まで行き、インターホンを何度もならし、ドアを何度も叩き、会うのを拒むCに対して「知らないわけないだろ、馬鹿野郎」「いい年こいたおばさんが何やってんのあんた」とDに発言させ、B自身も「あなたが恥をかくことになりますけどいいですか」などと発言しました。

裁判所は、この妻Bの「恥をかく事になりますよ」といった発言は、Cの社会的評価を低下させる危害を加えかねない言動だとし、加えて繰り返しインターホンをならしたり、ドアをたたいたりして面会を求める行為は社会通念上相当とされる限度を超えたものというべきであり、違法な取り立てまたは要求行為にあたる、としたようです。

この事案は、妻の言動が不法行為として認定はされましたが、訪問回数が1回だった事、時間も明るい時間で短時間であったという事からCの精神的苦痛に対する慰謝料は10万円とされました。

他にも妻に不倫をされた夫の方に不法行為があったとして慰謝料が認められた東京地裁の事案を見ていきます。

妻が職場の上司(国家公務員)と不倫をした事を知り、夫が不倫の慰謝料請求の訴訟をおこしたのですが、不誠実な対応の不倫相手の男性に怒りを感じたのか、不倫相手男性に関係のある国会議員20名以上に不倫の慰謝料請求訴訟の訴状(一部は黒塗りだったようですが)をFAXした、という内容です。

訴状と一緒にFAXされた書面には、自信の妻と相手男性の不貞行為があった事や証拠はある、といった事、不倫によって家族が崩壊したことや、国家公務員の管理職という立場にありながら部下の女性と不貞行為に至り、その女性の夫には何も謝罪がない、許されない、といったような事が書かれていたようです。

この夫の言動は、不倫相手男性の社会的評価を低下させ、その名誉を毀損するものである事は明らか、として不法行為の成立が認められました。

夫側に支払うよう、命ぜられた慰謝料は金50万円です。

結論

不倫相手への連絡や接触は節度をもって、感情的にならないように十分留意し、脅迫めいた言動になったり、名誉棄損になるような事をしないようにしなければ、逆に自分が慰謝料を請求されたり、不倫の慰謝料が減額される要素になりかねない、という事になります。

自分で不倫の慰謝料請求をしようと思われる方は特に気を付けてください。

心配な場合には、行政書士(不倫や離婚などに精通している行政書士)などの書面作成の専門家に依頼の上で慰謝料請求の書面を作成してもらったり、弁護士に依頼して代わりに交渉してもらったり、場合によっては訴訟したり、という事も選択肢に入れて頂くと良いかと思います。

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